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第29話 世界中が、俺の婚約者を殺しに来る

last update publish date: 2026-10-06 20:46:29

第29話 世界中が、俺の婚約者を殺しに来る

世界中から向けられた殺意が、目に見えない濁流となって地下空洞へ流れ込んだ。

人間の王国で祈りを捧げていた神官も、竜帝国の国境を守る兵士も、まだリシアの顔さえ知らない遠方の民も、御厨統馬の宣告を聞いた瞬間、魔王を倒すべき敵として認識させられた。

その一つ一つは小さな感情にすぎない。

しかし、何万、何十万という恐怖や憎悪が集まれば、それ自体が強大な魔力になる。

リシアの胸に刻まれた黒い紋章が脈打ち、彼女の身体が大きく揺れた。

「リシア!」

俺が抱き留めると、腕の中の身体は氷のように冷たかった。

銀白の髪が黒い魔力にあおられ、胸元から伸びた文字が首筋へ這い上がっている。文字が通った場所から鱗の色が濁り、黄金色だった瞳にも赤黒い光が混じり始めていた。

「私から離れろ、遥人。この印は、私の近くにいる者まで敵と認識するつもりだ」

「離れたら消えるのか」

「消えないだろうな」

「だった

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